「リッチメニューは設置したけれど、ほとんどタップされていない気がする」「デザインは外注して綺麗に作ったのに、予約やクーポンの利用に繋がらない」——もしあなたが今、こんなモヤモヤを抱えているとしたら、それは決してあなたのセンスや努力が足りないからではありません。
多くの店舗経営者が見落としているのは、リッチメニューは「作って終わり」ではなく「測って、直して、また測る」という改善サイクルで初めて成果が出るという事実です。
LINE公式アカウントのトーク画面の下半分を占めるリッチメニューは、いわば「お店のデジタル玄関」です。
お客様がトークを開いた瞬間に必ず目に入る、最も視認性の高い一等地。
ここを「なんとなくのデザイン」で放置しているか、それとも「データに基づいて磨き続けている」かで、半年後の売上は驚くほど変わってきます。
実際、studio-THが支援した店舗の中には、タップ領域の配置とデザインを数値に基づいて改善しただけで、特定ボタンのクリック率が3倍近くまで伸びた例もあります。
この記事では、特別なツールや専門知識がなくても始められる「データに基づくリッチメニュー改善サイクル」の全手順を、店舗経営者の目線で徹底的に解説します。
読み終える頃には、あなたの頭の中に「明日から何をすればいいか」の具体的な地図が描けているはずです。
studio-TH(弦巻 陽輔)
新潟唯一のLステップ正規代理店
商工会アドバイザーとして多数のLINE活用支援を実施中。
なぜ「作りっぱなしのリッチメニュー」は成果が出ないのか
リッチメニューが機能しない店舗には、ある共通点があります。
それは「設置した後、一度も中身を見直していない」という点です。
なぜ見直さないのか。
それは「どこを直せばいいのかが分からない」からに他なりません。
ここではまず、改善が進まない構造的な理由を整理しておきましょう。
「感覚」で作ったメニューは「感覚」でしか直せない
多くのリッチメニューは、開設当初に「とりあえず予約・クーポン・メニュー・アクセス・SNS・お問い合わせを並べておこう」という感覚で作られます。
これ自体は悪くありません。
問題は、その後の改善も「なんとなく赤が目立ちそう」「ボタンを大きくしてみよう」という感覚で行われてしまうことです。
感覚での改善は、当たることもあれば外れることもあります。
しかし外れたときに「なぜ外れたのか」が分からないため、次の一手も再び感覚に頼ることになります。
これが延々と続くと、改善のたびに振り出しに戻る賽の河原のような状態に陥ります。
数値という共通の物差しを持たない限り、改善は永遠に運任せのままです。
「全体のクリック数」しか見ていないという落とし穴
LINE公式アカウントの分析画面では、リッチメニュー全体のクリック数を確認できます。
しかし、ここで満足してしまうのが二つ目の落とし穴です。
「全体で月に300回タップされている」という数字だけを見て、「まあまあ使われているな」と判断してしまう。
ところが、リッチメニューは通常6分割や4分割で複数のボタンが配置されています。
大切なのは「どのボタンが」「どれだけ」タップされているかという内訳です。
LINE公式アカウントの管理画面(分析タブ)でも「領域ごとのクリック数」は確認できますが、多くの方はそこまで深掘りしていません。
全体の数字は健康診断でいう体重のようなもので、本当に見るべきは個別の血液検査の値(=領域ごとの反応率)なのです。
改善の優先順位がつけられない
「直したほうがいいのは分かるが、何から手をつければいいか分からない」——これも非常に多い悩みです。
デザインの色なのか、ボタンの配置なのか、文言なのか、それともリンク先なのか。
直せる箇所は無数にあります。
ここで重要なのが「インパクトの大きい箇所から直す」という発想です。
そしてインパクトの大小を判断する材料こそが、タップ領域ごとのデータなのです。
データがあれば「最も見られている位置にあるのに、最も売上に繋がらないボタンが置かれている」といった、優先的に直すべき箇所が自ずと浮かび上がってきます。
逆に言えば、データを見ないままでは、優先順位は永遠につけられません。
データに基づく改善サイクルの全体像を理解する
ここからが本題です。
リッチメニュー改善は、難しく考える必要はありません。
「設計→計測→分析→仮説→改善」という5つのステップをぐるぐる回すだけです。
一度回せば次の改善はもっと速く、もっと的確になります。

ステップ1〜2:まず「測れる状態」を作る
改善の出発点は、デザインの良し悪しを語る前に「測れる状態」を作ることです。
LINE公式アカウントの標準機能でも「分析」メニューからリッチメニューのエリア別クリック数が確認可能です。
さらにLステップやエルメッセージといった拡張ツールを使えば、「誰が」「いつ」「どのボタンを」押したかを個人別に特定し、自動でタグ付け(属性付与)を行うこともできます。
まず最初の1〜2週間は、大きな変更を加えずにデータを溜めましょう。
改善の前に「現状の正確な記録」を取ることが何より大切です。
現状が分からなければ、改善後に「良くなった」のか「変わっていない」のかすら判断できないからです。
この最初の記録を「ベースライン(基準値)」と呼びます。
ステップ3:タップ領域ごとに「クリック率」を分解する
データが溜まったら、ボタンごとのクリック数を一覧にします。
ここで計算してほしいのが、各ボタンの「クリック率(CTR)」です。
計算式はシンプルで、「そのボタンのタップ数 ÷ リッチメニューの表示回数(インプレッション)」です。
たとえば、表示回数が1,000回のうちクーポンボタンが100タップなら、クリック率は10%です。
一方、お問い合わせボタンが5タップなら0.5%です。
この数字を並べると、お店のお客様が「LINEに何を求めているか」が一目瞭然になります。
数字は嘘をつきません。
お客様の本音が、タップ数という形で正直に表れます。
ステップ4〜5:仮説を立てて、一つずつ変える
数字を見て「なぜこのボタンは押されないのか」という仮説を立てます。
位置が悪いのか、文言が分かりにくいのか、そもそも需要がないのか。
仮説が立ったら、改善は必ず「一度に一箇所だけ」変えるのが鉄則です。
色も配置も文言も同時に変えてしまうと、もし結果が良くなっても「何が効いたのか」が分からなくなります。
これでは次の改善に知見が活きません。
面倒に感じても、変える要素は一つに絞る。
これが後述するABテストの基本精神でもあります。
タップ領域ごとの分析でユーザー行動を読み解く
リッチメニューは画面の限られたスペースを複数のエリアに分割しています。
この「どこに何を置くか」が、クリック率を大きく左右します。
ここではタップ領域ごとの分析を、もう一歩踏込んで解説します。
人の視線は「左上から右下」へ流れる
スマートフォンの画面でも、人の視線にはクセがあります。
多くの人は左上から見始め、Z字やF字を描くように右下へと視線を流していきます。
つまりリッチメニューの「左上」は最も目に入りやすい一等地であり、「右下」は相対的に見落とされやすい場所だということです。
この前提を踏まえると、「最も押してほしいボタン(=お店が一番売上に繋げたいアクション)」を左上に配置するのがセオリーです。
ところが実際の店舗では、なんとなく「アクセス・地図」のような優先度の低い情報が左上に鎮座しているケースが本当に多いのです。
タップ領域ごとのデータを見ると、「一等地なのに成果に繋がらないボタン」が浮かび上がり、配置入れ替えという最もコストの低い改善が見えてきます。
「分割数」もクリック率に影響する
リッチメニューは大きく6分割・4分割・2分割・1枚絵などのパターンがあります。
ボタンを増やせばお客様の選択肢は広がりますが、その分一つひとつのボタンは小さくなり、選択肢が多すぎて「どれを押せばいいか分からない」という状態を生みます。
これは行動経済学でいう「選択のパラドックス」です。
データを見て、6つのボタンのうち2つしか使われていないなら、思い切って4分割や2分割に減らし、本当に押してほしいアクションを大きく見せる。
ボタンを減らすことでクリック率が上がるという現象は、現場で頻繁に起こります。
「全部載せ」より「絞り込み」のほうが、結果的にお客様を迷わせず行動に導けるのです。
タップ後の「離脱」まで追いかける
クリック率だけを追っていると見落とすのが、「タップした後にお客様がどうなったか」です。
たとえば予約ボタンがよく押されているのに予約数が増えていないなら、ボタンの先にある予約ページが使いにくい、入力項目が多すぎる、といった「リンク先の問題」が疑われます。
Lステップなどの拡張ツールを使えば、「ボタンをタップ→予約ページへ遷移→実際に予約完了」という一連の流れ(コンバージョンパス)の、どこで離脱が起きているかまで可視化できます。
リッチメニューの改善は、ボタンの中だけで完結しません。
タップの先にある体験まで含めて設計することで、初めて売上という成果に結びつきます。
配置とデザインのABテスト実践マニュアル
「データを見て仮説を立てる」の次は、その仮説が正しいかを検証する「ABテスト」です。
難しそうに聞こえますが、店舗のリッチメニューでも十分に実践できます。

ABテストの基本:比べるのは「一箇所だけ」
ABテストとは、AパターンとBパターンの2種類を用意し、どちらが良い結果を出すかを比べる手法です。
先ほども触れた通り、AとBで変える箇所はたった一つに絞るのが絶対のルールです。
たとえば「予約ボタンの文言」をテストするなら、Aは「ご予約はこちら」、Bは「24時間カンタン予約」とし、色も位置もサイズも全く同じにします。
こうすれば結果の差は「文言の違い」だけが原因だと言い切れます。
色も文言も両方変えてしまうと、勝因が分からず、せっかくのテストが無駄になります。
店舗でできる「期間分割テスト」のやり方
大企業のように友だちを2グループに分けて同時にテストする(出し分け)のが難しい小規模店舗では、「期間で分ける」方法が現実的です。
たとえば前半2週間はAパターンを表示し、後半2週間はBパターンに切り替えて、それぞれのクリック率を比較します。
このとき注意したいのが「条件をなるべく揃える」ことです。
給料日後と給料日前、平日と週末、セール期間と通常期間では、お客様の反応が変わります。
できるだけ似た条件の期間同士を比べることで、テストの精度が上がります。
最低でも各パターン2週間〜1ヶ月ずつ取れると、数字のブレが小さくなり信頼できる結果になります。
テストすべき要素の優先順位
何をテストすればいいか迷ったら、効果が大きい順に試すのがおすすめです。
一般的にインパクトが大きいのは「①ボタンの配置(位置)」、次に「②ボタンの文言(コピー)」、そして「③色・デザイン」、最後に「④分割数・全体構成」の順です。
特に①の配置は、デザインを作り直す必要すらなく、LINE公式アカウントの管理画面からエリアの割り当てを入れ替えるだけで試せるため、最もコスパの高いテストです。
まずは配置から、次に文言、それからデザインという順番で回していくと、少ない労力で大きな改善が得られます。
直感的にタップしたくなるデザイン設計のコツ
データとABテストが「改善の方法論」だとすれば、ここで紹介するのは「そもそも良いデザインとは何か」という土台の話です。
人の心理に沿ったデザインは、テストの勝率そのものを引き上げます。
「何ができるか」を一目で伝える
お客様はリッチメニューをじっくり読み込んでくれません。
0.5秒ほど眺めて、ピンとこなければそのまま閉じてしまいます。
だからこそ、各ボタンは「アイコン+短い言葉」で、何ができるかが瞬時に伝わることが何より大切です。
「メニュー」より「今月のおすすめ」、「予約」より「空席を確認する」のように、お客様が得られるメリットや具体的な行動が伝わる言葉に変えるだけで、タップ率は変わります。
専門用語や社内用語は禁物です。
お客様の言葉、お客様の頭の中にある表現を使いましょう。
「押せること」が分かるデザインにする
意外と見落とされがちなのが、「それがボタンだと認識されているか」という点です。
背景に溶け込んだ平坦すぎるフラットデザインだと、お客様は「ただの画像」だと思ってタップしてくれないことがあります。
ボタンらしい立体感や枠線、適度な余白、タップを促す「>」マークや指のアイコンなど、「タップ可能であること」を示す視覚的な手がかり(アフォーダンス)を入れましょう。
人は「押せそう」と感じたものを押します。
デザインの美しさより、まず「押せると直感的に分かること」を優先してください。
「色」と「余白」で視線を誘導する
最も押してほしいボタンには、他と差をつける目立つ色(アクセントカラー)を使い、優先度の低いボタンは控えめな色にする。
この「メリハリ」が視線を誘導します。
すべてのボタンを同じくらい派手にすると、結局どれも目立たなくなります。
また、要素を詰め込みすぎず適度な余白を取ることで、一つひとつのボタンが強調され、見やすくなります。
「引き算のデザイン」こそが、タップしたくなるメニューの秘訣です。
情報を足すより、削ることを意識しましょう。
studio-THでは、こうした視覚心理に基づいたデザイン設計を、データの裏付けとセットでご提案しています。
全国の店舗で実証された改善事例
ここからは、実際にデータに基づく改善でリッチメニューを生まれ変わらせた、全国の店舗の匿名事例をご紹介します。

【事例1】ある美容サロン:左上の配置入れ替えでクリック率2.8倍
関東地方のある美容サロンでは、リッチメニューの左上に「店舗へのアクセス」、右下に「ご予約」を配置していました。
分析したところ、左上のアクセスはほとんどタップされず、予約は右下に埋もれていました。
そこでstudio-THは、予約ボタンを左上に移動し、文言を「空席をチェックする」に変更。
結果、予約ボタンのクリック率は約2.8倍に向上しました。
「一等地に何を置くか」がいかに重要かを示す好例です。
【事例2】ある飲食店:6分割から4分割への絞り込みで全体タップ数1.5倍
中部地方のある飲食店では、6分割のリッチメニューに情報を詰め込みすぎていました。
しかしデータを見ると、特定の3ボタンはほとんど押されていませんでした。
そこで使われていないボタンを削り、4分割に変更。
「今日のおすすめ・ご予約・お得なクーポン・テイクアウト注文」に絞り込み、一つひとつのボタンを大きくしました。
その結果、全体のタップ数は約1.5倍に増加。
とくにテイクアウト注文の成約数が大きく伸びました。
【事例3】ある物販店:タップ後の離脱を潰しコンバージョン1.7倍
九州地方のある物販店では、クーポンボタンはよく押されているのに、実際の利用が伸び悩んでいました。
Lステップでタップ後の行動を追跡したところ、ボタンの先に表示されるメッセージが長すぎて、お客様がクーポン画面に到達する前に離脱していたことが判明しました。
そこでタップ後に直接クーポンを表示する形に簡素化した結果、クーポン利用のコンバージョンは約1.7倍に向上しました。
リッチメニューの改善が「ボタンの中だけの話ではない」ことを示しています。
あなたのリッチメニューを今すぐ自己診断
ここまで読んでくださったあなたに、ぜひその場でできるセルフチェックをご用意しました。
以下の項目に、いくつ「はい」と答えられるか数えてみてください。

7つのチェックリスト
- 直近1ヶ月で、リッチメニューの「領域ごとのクリック数」を確認しましたか?
- 最も売上に繋げたいボタンは「左上」に配置されていますか?
- 各ボタンの文言は、お客様目線のメリット(ベネフィット)が伝わる言葉ですか?
- ほとんど押されていない「死にボタン」が放置されていませんか?
- これまでに一度でも、配置や文言の比較(ABテスト)を行ったことがありますか?
- ボタンをタップした「後」の離脱が起きていないか確認していますか?
- リッチメニューを設置してから、一度でもデータに基づいて作り直しましたか?
採点の目安
「はい」が5つ以上なら、あなたはすでにデータに基づく改善の入口に立っています。
2〜4個なら、伸びしろの宝庫です。
そして「はい」が0〜1個だったあなた。
落ち込む必要はまったくありません。
それはむしろ「改善すれば大きく伸びる余地がある」という何よりの証拠です。
多くの店舗がこの状態からスタートし、半年後には見違える成果を出しています。
まだ間に合う、データに基づく改善を始めるなら
リッチメニューの改善は、本来とても地道で根気のいる作業です。
データを取り、読み解き、仮説を立て、テストし、また測る。
この一連のサイクルを、日々の営業と並行して回し続けるのは簡単ではありません。
だからこそ、専門家の目を一度入れるだけで、改善のスピードは何倍にも加速します。
studio-THは、Lステップおよびエルメッセージの正規代理店として、数多くの店舗のLINE運用を支援してきました。
「どのボタンが」「なぜ」押されないのかを数値から読み解き、配置・文言・デザイン・タップ後の導線までトータルで設計し直すお手伝いをしています。
まずは「現状のリッチメニューを診断」しませんか
いきなり何かを契約していただく必要はありません。
studio-THでは、「現状のリッチメニューを診断する」無料相談をご用意しています。
今あなたが使っているリッチメニューを拝見し、分析画面のデータの見方や、改善のチャンスがどこにあるかをアドバイスする場です。
「うちのメニュー、どこが悪いんだろう」というモヤモヤを、専門家と一緒に言語化するだけでも、次の一手は驚くほど明確になります。
まずは現状整理の場として、お気軽にご活用ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. リッチメニューの改善は、どのくらいの頻度で行えばいいですか?
最低でも月に1回はボタンごとのクリック数を確認することをおすすめします。
大きなデザイン変更は季節ごと(3ヶ月に一度)程度でも十分ですが、文言の微調整や配置変更はこまめに回すほど最適化が進みます。
Q2. 友だち数が少なくても分析は意味がありますか?
はい、あります。
友だちが数百人規模でも、どのボタンが人気かという傾向ははっきりと数字に出ます。
むしろ人数が少ないうちから「反応の取れる型」を作っておくことで、友だちが増えたときの売上爆発力が変わります。
Q3. Lステップなどの拡張ツールは必須ですか?
クリック数を確認するだけであれば、LINE公式アカウントの標準機能でも可能です。
ただし、「誰が押したか」によってメッセージを出し分けたり、タップ後の成約率まで自動計測したり、より高度なABテストを自動化したりするには、Lステップやエルメッセージの活用が非常に有効です。

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