「夜11時に『鍵の番号がわかりません』という電話がかかってきて、結局寝る直前まで対応に追われた」「予約は毎月それなりに入っているのに、同じお客様が二度目に使ってくれているのかどうかすら把握できていない」——無人運営のレンタルスペースや貸し会議室、撮影スタジオ、パーティールームを経営している方であれば、こうした悩みに心当たりがあるのではないでしょうか。
レンタルスペース事業は「無人で回せる副業・小規模ビジネス」として全国で参入が増えました。
その一方で、実際に運営してみると、入室方法の案内、注意事項の説明、退室後のゴミや原状回復のトラブル、口コミ対応など、細かな顧客対応がオーナー一人の肩に重くのしかかります。
さらに、予約の多くをポータルサイト経由に頼っていると、手数料が利益を圧迫し、利用者とは「一度きりの関係」で終わってしまいがちです。
この記事では、レンタルスペース・貸し会議室・撮影スタジオに特化して、LINE公式アカウントとLステップ等の拡張ツールを活用し、入解錠案内や注意事項の案内を全自動化しながら、利用後のアンケートと割引クーポンで次回予約をシームレスに獲得する仕組みを解説します。
そのまま使えるメッセージ例文、設定手順、よくある失敗パターン、全国の活用事例、費用対効果のシミュレーションまで、今日から実践できる「完全マニュアル」としてまとめました。
studio-TH(弦巻 陽輔)
新潟唯一のLステップ正規代理店
商工会アドバイザーとして多数のLINE活用支援を実施中。
なぜレンタルスペースは「一度きりの利用」で終わってしまうのか
まずは、多くのスペースがリピート利用を獲得できていない構造的な理由を整理しておきましょう。
原因は「スペースの魅力」ではなく、多くの場合「利用者との接点の持ち方」にあります。
利用者の連絡先が「ポータルサイトの中」にしか存在しない
多くのレンタルスペースは、集客の大半を「インスタベース」や「スペースマーケット」といった予約ポータルサイトに頼っています。
ポータルサイトは新規集客の入り口として非常に優秀ですが、利用者の連絡先やメッセージ履歴はサイトの中に閉じており、オーナーが自由に再アプローチすることはできません。
その結果、どれだけ満足してもらえても、次に会議室や撮影場所が必要になったとき、利用者は再びポータルサイトで検索し、そのとき上位に表示された別のスペースを予約してしまうという現象が起こります。
利用者にとっては「前回のスペースが良かった」という記憶よりも、「検索結果の上のほうにあった」ことのほうが行動を左右しやすいのです。
つまり、ポータルサイトだけに依存している限り、毎回の予約は「新規客の獲得」と同じ扱いになり、広告費や手数料を払い続ける構造から抜け出せません。
無人運営ゆえに「感謝」も「再来の理由」も伝わらない
飲食店や美容室であれば、帰り際に「またお待ちしています」と声をかけたり、次回予約をその場で提案したりできます。
ところが無人運営のレンタルスペースでは、利用者とオーナーが一度も顔を合わせないまま取引が終わります。
利用者は鍵を開け、使って、片付けて、帰る。
この一連の流れのどこにも「次回も使いたくなる理由」が差し込まれていないのです。
無人運営の効率性はそのままに、オーナーの「おもてなし」をLINEで代わりに届ける仕組みがなければ、リピートは偶然に任せるしかありません。
問い合わせ対応と事後トラブルでオーナーが疲弊する
もう一つの問題は、運営の手間です。
鍵の番号、Wi-Fiのパスワード、ゴミの捨て方、プロジェクターの接続方法、近隣への配慮事項など、利用者が知るべき情報は意外と多く、それらを予約ごとに手作業で送っているオーナーも少なくありません。
送り忘れや伝達ミスが起これば、深夜の電話対応や、退室後の清掃トラブル、次の利用者からのクレームにつながります。
オーナーが目の前の対応に追われるほど、リピート施策を考える余裕はなくなっていくという悪循環が、多くのスペースで起きているのが実情です。
LINEで実現する「全自動の利用体験」の全体像
ここからは、LINE公式アカウントを中心にした運営の全体像を見ていきます。
ポイントは、予約から退室後までの利用者の行動を時系列で分解し、それぞれのタイミングで必要な情報を自動で届けることです。

予約から次回予約までの7つのタッチポイント
レンタルスペースの利用体験は、大きく次の7つのタッチポイントに分けられます。
- タッチポイント1:予約完了(予約内容の確認・LINE登録の案内)
- タッチポイント2:前日(アクセス方法・注意事項の事前案内)
- タッチポイント3:当日・利用開始前(入室用の暗証番号の発行)
- タッチポイント4:利用中(Wi-Fi・設備の使い方を自動応答で案内)
- タッチポイント5:終了15分前(退室時のチェックリスト配信)
- タッチポイント6:退室後(お礼メッセージと利用後アンケート)
- タッチポイント7:アンケート回答後(次回割引クーポンと再予約リンク)
このうち、多くのスペースがきちんと対応できているのは1と3くらいで、残りは「利用者任せ」になっていることがほとんどです。
7つすべてを自動化することで、運営の手間を減らしながら満足度とリピート率を同時に高められるのが、LINE活用の最大の魅力です。
LINE公式アカウント単体とLステップ等の拡張ツールの役割分担
LINE公式アカウント単体でも、あいさつメッセージ、自動応答、リッチメニュー、クーポンなどの基本機能は使えます。
しかし「予約日時に合わせて自動送信する(リマインド配信)」「アンケートの回答内容によって送るメッセージやクーポンを変える」といった、利用者ごとに異なるタイミングと属性に合わせた配信は、標準機能だけでは非常に困難です。
そこで活躍するのが、Lステップやエルメッセージといった拡張ツールです。
これらを使用することで、予約システムから取り込んだ「利用日時」を起点に、前日や利用直前にメッセージを自動送信できます。
また、回答フォーム機能を使えば、アンケート結果を自動で顧客管理(CRM)に紐付けることも可能です。
ポータルサイトとの「共存」が前提になる理由
ここで一つ、非常に重要な注意点があります。
多くのスペース予約ポータルサイト(インスタベース、スペースマーケット等)では、サイト経由で予約した利用者を、サイト外での直接取引に誘導することを規約で禁止しています。
ポータル経由の利用者に「次回はLINEから直接予約すれば安くなります」と案内することは、規約違反となりアカウント停止のリスクがあります。
そのため、LINEを使ったリピート施策は「ポータルサイトを捨てる」ためのものではなく、「自社サイト、Googleマップ、紹介、法人契約など、ポータル以外の経路から来た利用者との関係を深める」ためのものとして設計するのが正しい考え方です。
ポータル経由の利用者については、ポータル内のメッセージ機能を利用し、自社集客(直接予約)の利用者にはLINEでフルに対応するという「二本立て」の運営を前提にしてください。
入解錠・注意事項案内を全自動化する具体的な手順
それでは、運営の手間を大きく減らす「入室案内の自動化」について、具体的な手順を見ていきましょう。
スマートロックの有無や予算に応じて、3つのレベルから選べます。
レベル別に選ぶ鍵発行の自動化パターン
レベル1:固定暗証番号+リマインド配信型
キーボックスや暗証番号式の錠を使い、予約者がLINEに登録すると、利用前日に「アクセス案内」、利用当日の開始1時間前に「入室用の暗証番号」が自動で届くように設定します。
初期投資がほとんどかからず、すぐに始められるのが利点です。
レベル2:スマートロックの期間限定パスコード連携型
RemoteLOCK(リモートロック)などのAPI連携に対応したスマートロックを、予約システム(リボーンやアップナウ等)と連携させる方式です。
予約ごとに発行された「その時間だけ有効な暗証番号」をLINEで自動送信します。
セキュリティ面で最も推奨される方法です。
レベル3:予約・決済・解錠の完全自動化
LINE上で予約から決済まで完結させ、決済完了と同時にスマートロックの鍵情報をLINEに送る方式です。
複数拠点を運営している事業者や、月の予約件数が100件を超えるスペースで特に効果を発揮します。
そのまま使える入室案内メッセージの例文
入室案内は、利用者が迷わないことを最優先に、短く・順番どおりに書くのがコツです。
以下は、利用当日の開始1時間前に送るメッセージの例です。
> 【本日のご利用案内】〇〇様、本日は「スペース名」をご予約いただきありがとうございます。
>
> ご利用時間:14:00〜17:00
> 入室用の暗証番号:****(ご利用時間内のみ有効です)
>
> 1. 建物1階のエントランスからエレベーターで3階へお上がりください
> 2. 「301」の扉横にあるテンキーに番号を入力してください
> 3. 室内の照明スイッチは入口すぐ右側です
>
> Wi-Fiや設備の使い方、トラブル時のFAQは、下のメニューの「設備の使い方」からいつでも確認できます。
注意事項は「前日」と「終了15分前」の2回に分けて届ける
注意事項を予約完了時にまとめて送っても、ほとんど読まれません。
終了15分前には、次のような退室チェックリストを送りましょう。
> 【まもなくご利用終了です】
> 次の方が気持ちよく使えるよう、退室前に以下をご確認ください。
>
> □ 机と椅子を元の配置に戻しましたか?
> □ エアコン・照明・プロジェクターの電源を切りましたか?
> □ 室内の写真を1枚撮影し、このトークに送ってください
>
> ※ゴミはお持ち帰りをお願いしております。
ご協力ありがとうございます。
最後の「写真を送ってもらう」という一手間が、原状回復トラブルを劇的に減らします。
リピートを生む「利用後アンケート+割引クーポン」の設計
入室案内の自動化で運営の手間を減らしたら、次はリピート獲得の仕組みです。
退室直後に送る「利用後アンケート」と、その回答をきっかけに届ける「次回割引クーポン」をセットで運用します。

回答率を高めるアンケートは「3問・1分」が鉄則
アンケートの本当の狙いは、「利用目的」と「次に使いそうな時期」を聞き出し、次回の案内をセグメント化することです。
- 設問1:今回のご利用目的は?
(会議/撮影/パーティー/その他) - 設問2:満足度は?
(5段階評価) - 設問3:改善してほしい点はありますか?
(自由記述)
回答内容に応じてクーポンと案内を出し分ける
Lステップ等のツールを使えば、アンケート回答後に「自動」でタグ付けを行い、クーポンを出し分けることができます。
- 会議利用の方:定期利用や「平日昼間限定」の回数券を案内
- 撮影利用の方:新しい機材の導入情報や背景紙の入荷情報を案内
- 満足度が低かった方:自動クーポンは控え、オーナーが直接チャットでフォロー(低評価レビューの防止)
クーポンの「期限」と「リマインド」で再予約を促す
クーポンを配るだけでは不十分です。
「有効期限を60日以内」に設定し、期限の1週間前に「クーポンの期限が迫っています」と自動リマインドを送る設定にしてください。
これだけで、クーポン使用率は大幅にアップします。
よくある失敗パターンと対策
失敗1:暗証番号を予約完了時に送ってしまう
予約から利用当日まで期間がある場合、番号がトーク履歴に埋もれてしまいます。
また、早期の番号発行はセキュリティリスクもあります。
対策:暗証番号は「利用開始の1時間前」にリマインドとして送る。
失敗2:一斉配信を送りすぎてブロックされる
利用予定がない人に毎週クーポンを送るとブロックされます。
対策:アンケート結果に基づき、「前回の利用から30日経った、会議目的の人」に絞って配信するなど、セグメント配信を活用する。
失敗3:LINE登録の導線が弱い
「店内のポップを見て登録してください」だけでは増えません。
対策:自社サイトや予約確認メールで「入室案内と鍵の受け取りはLINEで行います」と明記し、登録を必須化(または強く推奨)する。
費用対効果のシミュレーション
月50件の予約がある貸し会議室のケース
- 導入前:ポータル経由率80%(手数料負担大)、電話対応に月10時間。
- 導入後:自社サイト/GoogleマップからのLINE予約へ誘導。
自社経由率が20%から50%へ向上。
経済的メリット:
1. 手数料削減:ポータル手数料(30%前後)を回避し、自社予約に移行することで利益率アップ。
2. 人件費削減:月10時間の電話対応を自動化。
時給1,500円換算で月15,000円分のコストカット。
3. リピート増:アンケートとクーポンにより、自社経路のリピーターが1.5倍〜2倍に。
ツール費用:
- LINE公式アカウント(ライトプラン):月額5,500円(税込)
- Lステップ(スタートプラン):月額5,000円(税込)
※合計約10,500円〜で運用可能。
今日から始める導入チェックリスト
- [ ] LINE公式アカウント(認証済アカウント)を開設する
- [ ] Lステップやエルメッセージ等の拡張ツールを連携させる
- [ ] スマートロックの運用方法(レベル1〜3)を決定する
- [ ] 「前日」「当日1時間前」「終了15分前」「退室後」の4つのメッセージを作成する
- [ ] 自社サイトやGoogleマップ、店舗入口にLINE誘導のURL/QRコードを設置する
無人運営でも「また使いたい」と思われるスペースへ
レンタルスペース経営において、LINEは単なる連絡手段ではありません。
無人運営の効率性を保ちながら、オーナーの気配りを利用者一人ひとりに届ける「デジタルの受付係」です。
studio-THでは、Lステップ・エルメッセージの認定代理店として、レンタルスペース特化型のLINE構築支援を行っています。
スマートロックとのAPI連携や、リピート率を高めるシナリオ設計など、運営の実態に合わせた最適な仕組みをご提案します。
「自分のスペースでどう活用できるか詳しく知りたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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