「客室は埋まっているのに、なぜか手元に利益が残らない」——ホテルや旅館を経営されているあなたは、そんなもどかしさを感じたことはないでしょうか。
楽天トラベル、じゃらん、一休、Booking.comといったOTA(Online Travel Agent=オンライン旅行予約サイト)のおかげで、確かに予約は入るようになりました。
しかしその裏側では、1泊ごとに売上の10〜15%、時期やプランによっては18%近い手数料が抜き取られ続けています。
さらに深刻なのは、せっかく来てくれたお客様が「OTAのお客様」であって「あなたの宿のお客様」にはなっていない、という構造的な問題です。
予約者の直接的な連絡先はOTAが保持し、宿の手元には限られた情報しか残りません。
だから次にそのお客様が旅行を考えるとき、また別のOTAで「一番安い宿」を探し始めてしまう。
これでは、どれだけ心を込めておもてなしをしても、リピーターという資産が積み上がっていきません。
この記事では、OTA依存から少しずつ抜け出し、直販予約(自社サイト・電話・LINE経由の予約)を増やしながら、一度来てくれたお客様を「また来たい」と思わせるリピーターに育てるための、LINE公式アカウントを使った実践的な運用術を解説します。
館内POPの作り方から限定プラン設計、最新のLステップ活用、費用対効果のシミュレーションまで、明日からフロントで実行できる具体策をお届けします。
studio-TH(弦巻 陽輔)
新潟唯一のLステップ正規代理店
商工会アドバイザーとして多数のLINE活用支援を実施中。
OTA依存が「利益の出ない繁盛店」を生む構造
まず、なぜOTAに頼り続けると「予約は入るのに儲からない」状態に陥るのか、その構造を整理しておきましょう。
手数料が利益を静かに削り続ける
OTA経由の予約には、宿泊料金に対しておおむね10〜15%程度の送客手数料が発生します。
仮に平均客単価15,000円、月間300室の予約がすべてOTA経由だとすると、月間売上は450万円。
ここに手数料12%がかかると、月54万円、年間で約648万円がOTAへ流れていく計算です。
宿泊業は固定費が重く、営業利益率が数%というケースも珍しくありません。
その利益からさらに10%超の手数料を支払うのは、経営体力を奪う行為です。
繁忙期に上位表示を狙う広告オプションを追加すれば、実質的な負担率はさらに跳ね上がります。
OTAは「新規集客の窓口」としては優秀ですが、依存しすぎる状態は「自社の資産が積み上がらない」リスクを孕んでいます。
お客様の情報が「宿の手元」に残らない
OTA経由予約の最大の弱点は、顧客との直接的なつながりを持てないことです。
多くのOTAでは、予約者のメールアドレスは伏せられるか、期間限定の転送用アドレスのみが提供されます。
つまり、どんなに良い滞在体験を提供しても、宿側から「また来てください」と直接アプローチする手段が極めて限定的なのです。
顧客リストという資産を自社でコントロールできないことが、宿泊業がいつまでも新規集客と広告費に追われ続ける根本原因です。
この「顧客名簿の資産化」については、名簿は宝。
Lステップで実現する、顧客属性に合わせた「1対1」のメッセージングでも詳しく解説しています。
「価格競争」の負のループ
OTA上では、エリア内の宿が一覧で表示されます。
お客様は写真と価格と口コミを比較し、多くの場合「少しでも安い宿」や「ポイント還元が高い宿」を選びます。
すると宿側は、選ばれるために値下げやポイント付与率のアップを繰り返さざるを得ません。
この価格競争のループに入ると、単価は下がり、手数料負担は変わらず、利益はさらに薄くなるという悪循環に陥ります。
今のうちに「価格ではなく、この宿だから選ぶ」という直接のファンを増やしておくことが、生き残りの道です。
その「ファンとの接点」として最も有効なのが、日本人の生活インフラとなっているLINEなのです。

LINE公式アカウントが「直販の受け皿」になる理由
「直販を増やしたい」と思っても、自社サイトへの直接誘導はハードルが高いものです。
そこで最初の受け皿としてLINE公式アカウントが活躍します。
高い開封率と「プッシュ通知」の強み
メールマガジンの平均開封率が10%程度に落ち込んでいる中、LINEのメッセージは開封率が60%を超えることも少なくありません。
宿泊のお客様は、チェックイン前後にスマホで館内情報を調べます。
その際、メールよりも確実かつ気軽に見られるLINEは、お客様にとっても利便性の高いツールです。
友だち登録=自社の「直接アプローチ可能」な資産
LINEで友だち登録をしてもらうことは、OTAを介さずに連絡が取れる「自社リスト」を持つことを意味します。
一度登録してもらえば、基本的には追加の送客手数料なしでメッセージを届けられます。
さらに拡張ツールのLステップを活用すれば、「昨年の夏に泊まった家族連れ」「記念日利用のカップル」といった属性ごとにセグメント配信が可能になります。
全員に同じ情報を送るのではなく、相手に合わせた提案ができるため、ブロック率を抑えつつ高い成約率を維持できます。
セグメント配信の詳細はLINE公式のメッセージ配信コストを削減!
「セグメント配信」で無駄撃ちをなくすをご覧ください。
MEO・SNSとの連携で「OTAを飛ばす」
Googleマップ(MEO対策)やInstagramから、直接LINEへ誘導する動線を作ることも重要です。
検索したお客様がOTAを経由せずにLINEへ登録し、そこから自社サイトで予約する流れを作れば、手数料はゼロになります。
この戦略はGoogleマップ(MEO)からの来店客をLINEで「常連化」する地域密着店舗の勝ち筋や、最新のAI検索に対応したAI検索時代(AIO)の店舗集客。
LINEを「情報の着地点」にする戦略が非常に参考になります。
館内POPと接客でLINE登録を最大化する導線設計
宿泊業には「お客様が館内に数時間〜数日間滞在する」という、他業種にはない圧倒的なアドバンテージがあります。
登録率を高める設置ポイント
POPは、お客様が「スマホを取り出し、手持ち無沙汰になる瞬間」を狙って設置します。
- チェックインカウンター:手続きの待ち時間を活用。
- 客室のテーブル:館内Wi-Fi案内とセットにするのが定石。
- エレベーター内・脱衣所:ふとした待ち時間に視界に入る場所。
- 朝食会場のテーブル:食事を待つ数分間は登録率が高い。
効果的なPOP作成については、友だち登録が止まらない?
店頭・SNSから誘導する最新の導線設計を参考にしてください。
「体験価値」を特典にする
「500円引き」のような単純な割引よりも、宿ならではの付加価値を特典にするのが、良質なリピーターを育てるコツです。
- 次回宿泊時のレイトチェックアウト無料権
- 料理長特製・季節のレシピや地元観光裏マップPDF
- 館内でのワンドリンクサービス
割引なしでの特典設計は割引なしでも登録される!
LINE友だち追加の「クーポン以外の魅力的な特典」の作り方で詳しく解説しています。
直販予約を増やす「限定宿泊プラン」と「リッチメニュー」
友だちが増えたら、次はLINEからの予約を促す仕組みを整えます。
「LINE会員限定価格」と「クローズドオファー」
OTAの規約(レートパリティ)に配慮しつつ、「会員限定の非公開プラン」として、自社予約サイトのURLをLINE内だけで案内します。
手数料が浮く分を、夕食時のワンドリンクやアメニティのアップグレードに充てることで、お客様に「LINEから予約したほうが得だ」という実感を促します。
リッチメニューを「24時間フロント」にする
LINEの画面下部に表示されるリッチメニューをカスタマイズし、「空室確認・予約」「アクセス」「よくある質問」を配置します。
お客様が思い立った時にすぐ予約できる環境を作ることが、成約率アップに直結します。
デザインのポイントはクリック率が変わる!
ターゲットの心を動かすリッチメニューのデザインと思考で解説しています。

リピーターを育てる「サンクス配信」と「ステップ配信」
宿泊業におけるリピート化の鍵は「チェックアウト後のフォロー」にあります。
滞在の余韻を活かすサンクスメッセージ
チェックアウトの翌日に、「昨日はお越しいただきありがとうございました。どうぞお気をつけてお帰りください」といった感謝のメッセージを自動配信します。
この一言が、宿の印象を強く残します。
さらに、数日後にはアンケートを送り、改善点や喜びの声を集めることで、顧客との心理的距離を縮めます。
忘れられないためのステップ配信
Lステップを使えば、前回の宿泊から「3ヶ月後」「半年後」といったタイミングで、自動的にお誘いメッセージを送れます。
「そろそろ〇〇の季節ですね。去年の今頃お越しいただいたお客様へ、先行予約のご案内です」といった配信は、再訪の強力なきっかけになります。
休眠客の掘り起こしについては眠っている顧客リストが宝の山に。
LINE「休眠顧客の掘り起こし」で売上を回復させる方法も併せてご覧ください。
【費用対効果】LINE直販シフトで利益はどう変わるか
客室30室規模の旅館を例に試算してみましょう。
- 現状:月間売上450万円(すべてOTA経由)→ 手数料54万円(12%)
- 改善後:予約の30%をLINE・直販にシフト
- 削減効果:135万円分の手数料(約16.2万円/月)が削減 → 年間約194万円の純増利益
この浮いた利益を設備の修繕やスタッフの待遇改善に充てることで、さらなるおもてなしの向上に繋がる好循環が生まれます。
よくある質問(Q&A)
Q1. LINE公式アカウントは無料プランでも大丈夫ですか?
A. 2023年の料金改定により、無料プラン(コミュニケーションプラン)の無料メッセージ数は月200通までとなりました。
宿泊施設の場合、友だち数が増えると「ライトプラン(月額5,500円〜)」以上が必要になりますが、手数料削減額を考えれば十分に元が取れる投資です。
Q2. 高齢のお客様が多くてもLINEは使えますか?
A. はい。
現在、60代・70代のLINE利用率は非常に高くなっています。
スタッフが登録を丁寧にお手伝いすることで、シニア層こそ「電話よりLINEの方が楽」と喜んでいただけるケースが多いです。
Q3. 運用の手間が増えるのが心配です。
A. 最初の設定(自動応答やステップ配信)さえしっかり構築すれば、日常的な運用コストは大幅に抑えられます。
スタッフを疲弊させない体制づくりは「LINE運用は現場の負担?」スタッフを疲弊させずに効果を上げる運用体制と自動化で紹介しています。
まとめ:手数料を「自社の資産」に変える時
OTAは集客の入り口として重要ですが、依存し続けることは経営上のリスクでもあります。
毎月支払っている手数料のほんの一部を、LINEという「自社の顧客資産」づくりに投資してみませんか。
studio-THは、Lステップおよびエルメッセージの認定代理店として、宿泊業界に特化したLINE構築・運用支援を行っています。
「自社ならどのくらい利益が改善するか」のシミュレーションも含め、まずは無料相談であなたの宿の課題をお聞かせください。

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