本記事は、「オーダーシステム(セルフオーダー/モバイルオーダー/テーブルオーダー等)」の導入を検討している飲食店の方に向けて、そもそも自店に必要かどうかを判断するための考え方を整理する内容です。
比較記事やおすすめを読む前に、現場の課題が「注文の取り方」に起因しているのか、それとも別のボトルネックがあるのかを落ち着いて見極めたい方を想定しています。
導入を前提に話を進めず、導入しない選択も含めて、判断材料を中立的にまとめます。
studio-TH(弦巻 陽輔)
新潟唯一のLステップ正規代理店
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飲食店でオーダーシステム導入を迷う理由
オーダーシステムは「便利そう」「人手不足に効きそう」という印象が先行しやすい一方、現場に入れると運用・教育・メニュー設計などの負担も増えます。
そのため、導入の是非は『機能』よりも『自店の課題がどこにあるか』で決まります。
迷いが生まれる典型は、①周囲の導入が進み焦る、②人手不足の解決策として期待が膨らむ、の2つです。
ただし、焦りや期待だけで決めると「注文は楽になったが、厨房が詰まった」「接客価値が下がった」など、別の問題が表面化することがあります。
まずは迷いの正体を言語化し、導入で得たい成果を『数値と現場感』の両方で定義することが、後悔を減らす近道です。
周囲で導入が進んでいることへの焦り
近隣店やチェーンがセルフオーダーを入れると、「うちも遅れているのでは」と感じやすくなります。
ただ、同じエリアでも客層・客単価・回転・提供スピードの設計が違えば、必要性も変わります。
焦りを感じたら、まず「何が不安なのか」を分解し、機会損失(待ち時間・取りこぼし)なのか、採用難なのかを整理すると判断が落ち着きます。
人手不足対策として期待されやすい背景
人手不足の局面では、注文取得をシステムに寄せれば人件費が下がる、と考えがちです。
一方で、案内・説明・トラブル対応・配膳・会計など、注文以外の業務は残ります。
さらに、導入直後は教育やオペレーション調整が増え、短期的には負担が上がることもあります。
「何人分の何の作業が減るのか」を具体化しないと期待が先行します。

オーダーシステムは「入れれば解決する仕組み」ではない
オーダーシステムは、注文の入力経路を変える道具であり、店舗全体のボトルネックを自動で解消するものではありません。
注文が通りやすくなるほど、厨房の処理能力や提供導線が追いつかないと、待ち時間やクレームが増える可能性があります。
また、接客の設計(おすすめ提案、アレルギー確認、初来店の不安解消)を注文画面に置き換えられない業態もあります。
導入判断では「注文取得が遅い」だけでなく、「提供が遅い」「会計が詰まる」「ピークの案内が回らない」など、全体の流れのどこが詰まっているかを先に確認する必要があります。
システムは『詰まりの場所』に当たって初めて効きます。
導入しても効果が出にくいケースがある理由
効果が出にくいのは、注文取得よりも厨房・配膳・会計がボトルネックの店です。
注文が早く入るほどキッチンが混み、提供遅延が目立つことがあります。
また、メニュー数が少なく口頭でも誤注文が起きにくい店では、改善幅が小さくなりがちです。
「注文の遅さ」が本当に売上や満足度を下げているか、先に確かめるのが安全です。
飲食店におけるオーダー業務の役割を整理する
オーダー業務は単なる入力作業ではなく、接客品質と提供品質をつなぐ『交通整理』の役割も担います。
たとえば、混雑時に注文タイミングを調整して厨房負荷を平準化したり、初来店の不安を解消しながらおすすめを提案したり、アレルギーや苦手食材を確認したりします。
この役割をどこまでシステムに任せ、どこを人が担うのかで、導入の向き不向きが変わります。
判断の第一歩は、現場で「注文を取ること」自体が負担なのか、それとも注文周辺の確認・説明・調整が負担なのかを切り分けることです。
切り分けができると、導入しても残る仕事(案内、フォロー、トラブル対応)を見積もれます。
注文を取る業務で本当に負担になっている部分
負担は「聞く」「入力する」「確認する」「伝える」に分かれます。
たとえば、聞き間違いが多いのか、POS入力が遅いのか、アレルギー確認が重いのかで対策は変わります。
現場で1週間だけでも、ピーク時に何が詰まるかをメモすると原因が見えます。
原因が入力作業ならシステムが効きやすく、原因が説明や調整なら別の手当が必要です。

オーダーシステム導入を検討すべき飲食店の特徴
導入を検討しやすいのは、「注文取得がボトルネックになっている」ことが比較的はっきりしている店舗です。
具体的には、注文数・回転数が増え、口頭注文だと取りこぼしや待ちが発生しているケース、またはスタッフ対応が追いつかず、注文のタイミングが遅れて客体験が落ちているケースです。
重要なのは、導入目的を『人を減らす』ではなく、『ピークの詰まりを減らす』『ミスを減らす』『待ちを短くする』のように、現場の症状に紐づけることです。
そのうえで、導入後に残る業務(案内、説明、端末トラブル、未操作客のフォロー)を織り込んでも、全体として回る見込みがあるかを見ます。
以下は、検討に入りやすい典型パターンです。
注文数・回転数が増えている場合
回転が上がるほど、注文取得の遅れがそのまま機会損失になりやすくなります。
追加注文が多い業態では、呼び出し対応の回数が増え、ホールが分断されがちです。
このとき、注文経路を整えると「待ち」と「取りこぼし」を減らせる可能性があります。
ただし、厨房の処理能力が同時に必要なので、提供時間の上限も合わせて確認が必要です。
スタッフ対応が追いつかなくなっている場合
ピーク時に「呼んでも来ない」「注文が通っていない」が起きる店は、注文取得が詰まりやすい状態です。
この場合、ホール人数を増やせない前提なら、注文取得の負担を分散する発想は合理的です。
一方で、案内・配膳・会計が同時に逼迫しているなら、注文だけ変えても改善が限定的なことがあります。
どの業務が最も遅延を生んでいるかを先に特定します。
まだオーダーシステムを入れなくてもよいケース
オーダーシステムは万能ではないため、「入れないほうが価値が出る」店もあります。
代表例は、人の提案や会話が体験価値の中心にある業態です。
注文をセルフ化すると、客単価を押し上げていた提案機会が減ったり、初来店の不安が解消されず満足度が下がったりすることがあります。
また、メニューが少なく、注文ミスが少ない店では、導入による改善幅が小さく、運用負担(設定変更、端末管理、通信トラブル対応)のほうが目立つこともあります。
「現状の困りごとが注文起因ではない」「人の接客が強みで、注文が接客の一部になっている」なら、急いで置き換える必要はありません。
まずはピークの配置、メニュー表記、動線、声かけルールなど、非システムの改善で十分な場合もあります。
人の対応が価値になっている業態
コース提案、ペアリング、好みのヒアリングが売りの店では、注文は接客そのものです。
セルフ化すると、提案の質が画面に依存し、常連の細かな要望も拾いにくくなります。
また、高齢客や観光客が多い店では、操作支援が増えて逆に手間が増えることもあります。
「接客の強みを削らないか」を最優先で確認すると判断しやすくなります。

オーダーシステム導入で起きやすい誤解
導入検討でよくあるのは、「コストが下がるはず」「現場が単純になるはず」という前提が強すぎることです。
実際には、注文取得の工数が減っても、別の工数(初期設定、メニュー更新、スタッフ教育、端末管理、通信障害時の対応)が増えます。
また、オペレーションは単純化というより『再設計』が必要になり、慣れるまでの混乱も起こり得ます。
誤解を避けるには、導入で減る作業と増える作業を同じ粒度で書き出し、差し引きで判断することです。
以下の2点は特に誤解が生まれやすいので、先に冷静に押さえておくと検討がぶれません。
コスト削減につながると思われやすい点
注文取得が減れば人件費が下がる、と直結させがちです。
ただ、ピークの人員は配膳・片付け・会計で必要なままのことも多いです。
さらに、運用コスト(教育、設定変更、トラブル対応)が増えると、削減効果が相殺されます。
「何時間分の何作業が減るか」を見積もらないと、削減は判断できません。
現場オペレーションが単純化されるという思い込み
注文入力が減っても、未操作の客への声かけ、誤操作のフォロー、品切れ時の案内などが発生します。
また、厨房側は注文が一気に流れ込み、優先順位付けが難しくなることもあります。
結果として、現場は「単純化」ではなく「例外対応の設計」が重要になります。
例外が多い店ほど、導入前の運用設計が欠かせません。
オーダーシステム導入判断のために整理したい視点
導入の是非は、システムの良し悪しより「自店の条件」と「運用の現実」で決まります。
判断の軸としては、①店舗規模・業態との相性、②スタッフ体制と運用イメージ、の2つを先に固めると迷いが減ります。
相性とは、客層の操作耐性、注文頻度、メニューの複雑さ、接客の位置づけなどです。
運用イメージとは、誰がメニュー更新をするのか、ピーク時に誰がフォローに回るのか、通信障害時にどう切り替えるのか、といった『現場の手順』です。
この2軸が曖昧なまま比較に入ると、機能の多さに引っ張られて判断がぶれます。
まずは自店の前提条件を言語化し、導入しても回る姿を具体的に描けるかを確認してください。
店舗規模・業態との相性
席数が多いほど注文取得の負担は増えますが、同時にフォローの手間も増えます。
業態として、追加注文が多い居酒屋型か、滞在が長いカフェ型かでも相性は変わります。
また、客層にスマホ操作が不慣れな方が多い場合、支援が前提になります。
「客体験を損なわないか」を相性判断の中心に置くとブレにくいです。
スタッフ体制と運用イメージ
導入後は、注文を取る人が減る代わりに、案内・説明・例外対応の役割が増えます。
ピーク時に誰がその役割を担うか、固定できるかが重要です。
また、メニュー変更や品切れ更新を誰がいつ行うかが曖昧だと、現場が混乱します。
「担当者」「手順」「代替手段」を先に決めると導入可否が見えます。

オーダーシステムを比較する前に考えておきたいこと
比較に入る前に、「必要な機能」と「不要な機能」を切り分けておくと、選定が目的から逸れにくくなります。
ここで言う機能はカタログ的に網羅するのではなく、自店の課題に直結するものだけに絞るのがポイントです。
たとえば、取りこぼしが課題なら『注文の確実な伝達』が要点で、見栄えの良い画面演出は優先度が下がるかもしれません。
逆に、初来店が多くメニュー理解が課題なら、写真や説明の出し方が重要になります。
また、不要な機能が多いと、設定項目が増えて運用負担が上がり、現場が使いこなせない原因になります。
比較は「候補を増やす作業」ではなく、「自店の条件に合わないものを落とす作業」と捉えると、冷静に進められます。
必要な機能と不要な機能の切り分け
切り分けは、まず「困っている場面」を起点に行うと実務的です。
ピーク時の呼び出し回数、誤注文、品切れ案内の頻度など、具体の困りごとに紐づくものを必要機能にします。
一方、使う人が限られる機能や、運用が複雑になる機能は慎重に扱います。
『使わない高機能』は、現場の負担として残りやすい点に注意が必要です。
相談した方が判断しやすくなるタイミング
導入の是非は、店内の動線、ピークの人員配置、客層、厨房能力などが絡み、店内だけで結論を出しにくいことがあります。
特に「注文が遅い気はするが、どこが原因か断定できない」「導入後の運用が想像できない」「スタッフの反発が心配」など、論点が複数にまたがると判断が止まりがちです。
この場合、いきなり製品比較に入るより、現状整理の壁打ちとして第三者に相談し、論点を並べ替えるほうが早く進むことがあります。
相談は導入を決めるためではなく、『導入しない』も含めて納得できる判断を作るための手段です。
自店だけで抱え込まず、状況整理のために相談しても問題ありません。
一人で考えても答えが出にくい場合
現場の感覚と数字が噛み合わないときは、外部の視点が役立ちます。
たとえば「忙しいのに売上が伸びない」「待ちが出るのに厨房は止まる」などは、ボトルネックが複数あるサインです。
この段階で相談すると、課題の優先順位や、システム以外の改善余地も整理できます。
結論が導入見送りでも、判断材料が残るのが価値です。

まとめ|オーダーシステムは「必要になったとき」に検討する
オーダーシステムは、飲食店の注文業務を支える有効な選択肢になり得ますが、入れれば自動的に人手不足や売上が解決するものではありません。
導入判断では、まずオーダー業務のどこが負担かを分解し、店舗全体のボトルネックが「注文取得」にあるかを確認することが重要です。
そのうえで、接客価値を損なわないか、導入後に増える運用負担を受け止められる体制かを見ます。
比較やおすすめを見る前に、相性(業態・客層・規模)と運用(担当者・手順・例外対応)を言語化できれば、導入してもしなくても納得感のある判断になります。
自店だけで判断が難しい場合は、現状整理の壁打ちとして相談しても問題ありません。
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